岩崎俊一さんのコピー

名作だらけで、何を挙げたらいいか迷いますが、ひとつ 挙げるとするならば…

 

人は、書くことと、消すことで、書いている。

 

消しゴムを使う人を見ると、

あ、この人はいま、一生けんめい闘っているんだな、

と、なんだかちょっと応援したくなります。

 

自分の想いを、正しく、わかりやすく伝えるには

どう書けばいいのか。

それと真正面から向きあい、苦しみ、迷いながら、

でもなんとか前へ進もうともがいている。

消す、という行為には、人間の、

そんなひたむきな想いが

こもっている気がしてなりません。

文房具づくりにたずさわって、まもなく100年。

トンボは、「書く道具」と同じくらい、

「消す道具」を大切に育ててきました。

日本の定番と言ってもいい消しゴム。

品質をみがくことで、大きな市場を切り開いた修正テープ。

そこにあるものを、すばやく、美しく、

カンタンに消し去ることで、この世にほんとうに

生まれて来なければならなかったものが

姿をあらわしてくる。

消すことは、また、書くことである、と信じるトンボです。

(引用 幸福を見つめるコピー 岩崎俊一)

 

トンボの企業広告ですが、ものごとの本質をとらえているコピーだなと、いつも思います。

 

キャッチコピーにハッとさせられ、 ボディコピーでじんわりとあたたかい気持ちにさせられる、二段構え。

 

このコピーを思い出すたび、岩崎さんに書くことを応援してもらっているような、そんな気持ちになれます。

 

幸福を見つめるコピーの帯には、岡本欣也さんのコメントも載っています。

 

「人間を描こうとして、もがいている。いくつになっても慣れることなく、きちんともがいている。15年そばにいるけど、それがすごいと思う。」

 

いくつになっても慣れることなく、きちんともがいている岩崎さんと、それを感じ、すごいと思える岡本さんは、素敵な関係性だな、と感じました。

 

宣伝会議のコピーライター養成講座を受講してから、コピーの作者というものを意識するようになり。

 

自分が好きなコピーを見つけると、その中には岩崎さんのコピーがたくさんありました。

 

優しくて、時にハッとさせられて、また時にはユーモアにあふれたコピー。

 

何かに悩んだ時には読み返したいです。

 

☆大人の迷子たち

☆幸福を見つめるコピー